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2008年4月19日 (土)

私を育ててくれた店の数々「グリムのギャルソンの答え」

 その日のお料理のことをギャルソンに質問すると、必ず奥に戻った後、ていねいに説明してもらえた。
 しかも、料理を再現するときに留意すべき点を必ず付け加えて。
 例えば、「一晩そのまま寝かす」「鷹の爪を一本潜ませる」

 答えは、相手のために出す。こんな簡単なことなのに、忘れてしまう現在の私です。
 そして、ギャルソンが答えるときには、シェフを尊重する誠実がある。
 プロフェッショナルの謙虚は、プライドではないかとも思ってしまう。

2008年4月17日 (木)

私を育ててくれた店の数々「グリムのアペリティフ」

 いつからだったか、店のギャルソンから「店からのサービスです」と食前酒をいただくようになっていた。
 リキュールが注がれた細身のホタルブクロのようなグラスの縁に岩塩がまぶしてあり、レモンの薄切りで蓋をされている。そして、たしかレモンの上にはシナモンパウダーが振ってあった。
 それを口に放り込むようにしていただく。
 美味しかった。そして、なによりも楽しかった。
 このお店の、このギャルソンのおかげで、私は人からの好意を素直に受け取ることができるようになった気がする。

 今では、私も周囲の人に好意を少しは贈ることができるようになった。そんなときに喜んで受け取ってもらえると、とても嬉しい。
 ギャルソンから、かけがえのないものをいただいた。

2008年4月12日 (土)

私を育ててくれた店の数々「グリム」

 熊本のバスセンターの地下に「グリム」というイタリアン・レストランがあった。
 入り口にお勧めコース・メニューが表示されて、店内に入ると明るすぎない照明の下、赤と緑のテーブル・クロスが敷かれてあった。貧しい大学生にとって、節約を重ねて一ヶ月に一度なんとか行くことができるような店だった。
 2番目に安いコースとハーフボトルのワインをいつも頼んだ。そのコースには、パン生地でふたをしてオーブンで焼いたクリーム・シチューがついていたのだ。
 銅の壷に盛り上がったパンはこんがり焦げ目がつき、フォークで突き刺すとバターの香りのする湯気がため息をつく。それを指で千切ってシチューをすくい、食べるのが好きだった。異文化の香りがした。
 そこでもまた、店のギャルソンにお世話になった。

4月12日

2008年4月 7日 (月)

私を育ててくれた店の数々「煉瓦亭の大野さん」

 一年にも満たぬ間だったが、大野さんという人に大変お世話になった。私の話をよく聞いてもらった。
 なにかアドバイスを貰ったわけではない。口数の少ない人で、ただ、ひたすら真剣に聞いてもらったような気がする。
 たまに相槌、そして優しいまなざし。意見された思い出はほとんどない。
 今、たまに私も愚痴を聞かされることがある。まず、何も言わずに聞くように心がけている。何も言わないが、頷いたり相槌を打ったりする。
 意見を求められても、思っていること全部は決して口にしない。大切だと思うことの中で、相手が受け入れそうなものを一つだけ伝えるようにしている。
 今になって、大野さんも私に言いたいことがたくさんあったろうに、と反省している。

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