イスタンブールのドライバーは運転をしないのか
イスタンブールに到着して、出迎えの現地係員を探したがいない。
妻を出口の隅に待たせて、何度も人だかりの前を往復した。
ネームカードを隅から隅まで注視して歩いた。
そして、人ごみがはけてきた頃、ようやく妻の名前を大書したカードを見つけることができた。
現地係員は、黄色いセーターを着た青年だった。
荷物を受け取り、ドライバーを呼ぶと言って携帯電話をかける。
何度もかけて、ようやく電話はつながったが、彼のドライバーはすぐ側にいたのだった。かなり不安になった。
そして、不安は的中した。
ドライバーのはずの男は助手席に座って、黄色のセーターの青年がハンドルを握った。
ピックアップの予約確認書を受け取ると、たどたどしい日本語で、ガイドは要らないかとか、レストランに案内したいとか言うだけで、市内の案内とか、注意事項とかには全く触れない。
市内に到着したはずなのになかなかホテルに着かない。
それどころか、同じ道を通ったのが分かった。
終いには車を停めて、街の人々にホテルを尋ね始めた。
3人目でようやくホテルの在り処ををつきとめることができた。
星が四つ付いていたから、全くの無名のホテルじゃあるまいに…。
ホテルに着いてもドライバーは助手席に座ったままだ。
セーター君が嬉しそうに車を停め、荷物を降ろし、ホテルのドアマンに託した。
そして、誇らしげに手を振るとすぐ車に乗り込み、発車した。
帰りのピックアップの打ち合わせも、ホテルのチェックインはおろか、その案内もしない。
私は、そこが予約してあるホテルに間違いないか確認して、チェックインに向かった。


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